経過的職域加算遺族給付の相続税課税 完全解説

― 退職手当金等の非課税枠(500万円×法定相続人数)は適用できるか ―

制度沿革・法令連鎖・パターン比較・解釈分岐・第三者判断・実務対応・推奨書籍まで

【免責事項】本記事は法令・通達・専門書籍等の公開情報を整理した解説です。実務適用にあたっては、個別案件の事実関係に応じて、必ず税理士・税務当局へご相談ください。また、本記事の作成にあたってはAIによる調査整理を活用しており、事実関係の不足・法解釈の方法によって、結論が異なる場合があります。

目次

  1. エグゼクティブサマリー(結論先出し)
  2. 第1章 制度の沿革と一元化前後の課税関係
  3. 第2章 法令連鎖(共済3制度別の正確な整理)
  4. 第3章 パターン別比較 ― 在職中死亡 vs 受給開始後死亡
  5. 第4章 解釈分岐の核心 ― A説 vs B説の徹底比較
  6. 第5章 第三者判断 ― なぜB説が法令解釈として正しいか
  7. 第6章 12条1項6号の「相続人取得要件」の制約
  8. 第7章 評価方法(24条1項3号 終身定期金)
  9. 第8章 実務的な対応策(推奨順)
  10. 第9章 推奨専門書籍リスト
  11. 第10章 参考条文・通達・政令(全文)
  12. 第11章 出典URL一覧

エグゼクティブサマリー(結論先出し)

本解説の結論

経過的職域加算遺族給付(年金として継続支給される遺族共済年金)について、相続税法12条1項6号の非課税枠(500万円×法定相続人数)は適用されるのが法令解釈として正しい(B説)。

ただし、税務署窓口で「適用されない」(A説)と回答されるケースがあり、これは民間確定給付企業年金(DB)・確定拠出年金(DC)の実務通説(年金受給開始後死亡=6号課税)を経過的職域加算にも機械的に延長したものと推定される。

法令文理ではB説(2号課税・非課税枠OK)が明確に筋が良く、争えば勝つ見込みが高い。実務上は事前照会制度(文書回答)の活用が最も確実。

結論に至る論理の骨格

  1. 法律相続税法3条1項2号「退職手当金等(政令で定める給付を含む)」が政令委任を行っている
  2. 政令相続税法施行令1条の3で、経過的職域加算遺族給付が「退職手当金等に含まれる給付」として明示列挙されている(柱書「次に掲げる年金又は一時金に関する権利」と明記)
  3. 法律相続税法3条1項6号本文に「(第2号に掲げる給与に該当するものを除く。)」の除外規定がある
  4. 通達通達3-47が「定期金として支給される退職手当金等は2号課税」と除外規定の内容を明示している
  5. 法律相続税法12条1項6号は「3条1項2号に掲げる給与」を非課税枠の対象としているため、自動的に適用される
注意:典型ケース(配偶者・子が受給する場合)に限定。受給権者が「相続人でない遺族」(内縁配偶者、相続放棄者、代襲相続でない孫等)の場合、12条1項6号の「相続人取得要件」により非課税枠は適用されません(通達12-10による12-8・12-9の準用)。

第1章 制度の沿革と一元化前後の課税関係

1-1 一元化前(平成27年9月以前)の構造

共済年金は3階建てで、退職共済年金・障害共済年金・遺族共済年金は、いずれも以下の構造で算定されていました。

1-2 一元化前の課税関係

これらは相続税法基本通達3-46の注1〜注3に明示されています。

1-3 一元化(平成27年10月1日施行)

被用者年金一元化法(「被用者年金制度の一元化等を図るための厚生年金保険法等の一部を改正する法律」平成24年法律第63号)により、共済年金は厚生年金保険に統合。3階部分(職域加算)は廃止され、2系統に分かれました。

1-4 一元化後の課税関係の変化

公課禁止規定が改正され、経過的職域加算額が公課禁止の対象から除外されました。同時に、相続税法施行令1条の3が改正され、経過的職域加算額(遺族給付)が「退職手当金等に含まれる給付」として明示列挙されました。

項目 一元化前(〜平成27年9月) 一元化後(平成27年10月〜)
所得税非課税(公課禁止規定)非課税(所得税法9条1項3号)
相続税非課税(公課禁止規定)課税対象(みなし相続財産=退職手当金等)
法的根拠旧国共済法50条等の公課禁止規定公課禁止規定が改正され除外、相続税法施行令1条の3に追加列挙

第2章 法令連鎖(共済3制度別の正確な整理)

共済3制度(国家公務員共済・地方公務員共済・私学共済)の課税関係は、根拠条文の対応関係が制度ごとに分かれている点に注意が必要です。

2-1 国家公務員共済(KKR・林野庁共済組合等)

旧国共済法第88条第1項(遺族共済年金)  ↓ 一元化法附則第36条系(「改正前国共済法による職域加算額」の定義)  +附則第37条系(「なおその効力を有する」読み替え)  ↓ 平成27年政令第345号(経過措置政令)で「旧職域加算退職給付」  「旧職域加算障害給付」「旧職域加算遺族給付」を定義  ↓ 相続税法施行令第1条の3 第1号で「退職手当金等に含まれる給付」として列挙  ↓ 相続税法第3条第1項第2号(退職手当金等)として課税

2-2 地方公務員共済(地方職員共済組合・公立学校共済組合・市町村職員共済組合連合会・警察共済組合等)

旧地共済法第99条第1項(遺族共済年金)  ↓ 一元化法附則第60条第3項(「改正前地共済法による職域加算額の経過措置」)  ↓ 平成27年政令第347号(経過措置政令)  ↓ 相続税法施行令第1条の3 第2号で列挙  ↓ 相続税法第3条第1項第2号として課税

2-3 私学共済(日本私立学校振興・共済事業団)

改正前私学共済法第25条による改正前国共済法第88条第1項の準用  (私学共済特有の二段準用構造)  ↓ 一元化法附則第78条系(私学共済関係条項)  ↓ 平成27年政令第348号(経過措置政令)  ↓ 相続税法施行令第1条の3 第3号で列挙  ↓ 相続税法第3条第1項第2号として課税
重要:警察共済組合は「地方公務員等共済組合法」に基づく組合のため、施行令1条の3「第2号」(地共済法系)が根拠となります。国家公務員共済(第1号)と混同しないよう注意が必要です。

第3章 パターン別比較 ― 在職中死亡 vs 受給開始後死亡

被相続人の死亡時期によって、遺族が受け取る給付の性質が変わります。ここで「在職中(年金受給開始前)」と「退職後(年金受給開始後)」の2パターンに分けて整理します。

【被相続人の人生時系列】 ┌─────────────────────────────────────────┐ │ 在職中(組合員)→ 退職 → 年金受給中 → 死亡 │ │ ↑ ↑ │ │ ケース1で死亡 ケース2で死亡 │ │ (年金受給開始前) (年金受給開始後)│ └─────────────────────────────────────────┘

3-1 ケース1:在職中(または年金受給開始前)に死亡

ケース1 ― 争いなし

遺族が受け取るもの遺族一時金 または 遺族共済年金(経過的職域加算額)として年金支給スタート
課税類型相続税法3条1項2号(退職手当金等)
適用通達3-23、3-25(受給者判定)
非課税枠適用OK(500万円×法定相続人数)
評価一時金額そのまま、または24条1項3号(年金の場合)
申告書第10表(退職手当金などの明細書)
税務署対応異論なし

「在職中に死亡し、その死亡を契機に遺族に支給される給付」は誰の目にも死亡退職金そのもの。通達3-29「退職年金の継続受取人」の射程外(被相続人がまだ年金を受給していなかった)。民間DB/DCでも経過的職域加算でも結論は同じ。

3-2 ケース2:退職後・年金受給開始後に死亡(本論点)

被相続人が既に退職共済年金(経過的職域加算額)を受給中で、死亡により遺族が遺族共済年金(経過的職域加算額)を継続受給するパターン。ここで民間DB/DCと経過的職域加算で扱いが分かれます。

民間DB/DCの場合(参考:実務通説)

課税類型相続税法3条1項6号(契約に基づかない定期金)
適用通達通達3-29(退職年金の継続受取人)
非課税枠適用NG
評価24条1項3号(終身定期金)
申告書第11表(年金受給権)

トゥモローズ・イナリ・アンサーズ等の税理士事務所サイトが一貫して解説。「在職中=2号・非課税枠OK/年金受給開始後=6号・非課税枠NG」が民間企業年金の実務通説。

経過的職域加算の場合 ― 解釈分岐あり

B説(法令解釈として正しい)

  • 課税類型: 3条1項2号(退職手当金等)
  • 適用通達: 施行令1条の3+通達3-47
  • 非課税枠: 適用OK
  • 評価: 24条1項3号
  • 申告書: 第10表
  • 支持源: 税理士懇話会事例DB、社会保険出版社「年金ガイド」第75回、私学共済公式の暗黙の前提

A説(税務署窓口で示されることがある見解)

  • 課税類型: 3条1項6号(契約に基づかない定期金)
  • 適用通達: 通達3-29
  • 非課税枠: 適用NG
  • 評価: 24条1項3号
  • 申告書: 第11表
  • 支持源: 民間DB/DCの実務通説の機械的延長

3-3 民間DB/DCと経過的職域加算で扱いが分かれる決定的理由

両者の違いは、施行令1条の3での取り込まれ方にあります。

項目民間DB/DC経過的職域加算
施行令1条の3での取込 第4号〜第7号で取り込まれているが、政令文言上「死亡一時金」を中心に取り込み。「年金として遺族が継続受給する権利」は別建てで、3-29がストレートに適用される 第1号〜第3号で「遺族共済年金そのもの」を退職手当金等として明示列挙。柱書「次に掲げる年金又は一時金に関する権利」とあり、年金として遺族が継続受給する権利も政令レベルで退職手当金等に取り込まれている
実務上の結論 受給開始後死亡=6号課税・非課税枠NG(実務通説) 受給開始後死亡でも2号課税・非課税枠OK(B説)
重要:民間DB/DCの「受給開始後=6号」の理屈を経過的職域加算にそのまま延長してはいけません。これがA説の最大の誤りです。

3-4 ケース1とケース2の総合比較表(経過的職域加算)

項目 ケース1(在職中死亡) ケース2(受給開始後死亡)
被相続人の状態組合員(在職中)退職済み、年金受給中
遺族が受け取るもの遺族一時金または遺族共済年金遺族共済年金(経過的職域加算額)の継続受給
3条1項2号 vs 6号2号で確定(争いなし)2号が正解(B説)/6号と誤解されがち(A説)
政令1条の3の射程当然射程内射程内(条文の明示列挙)
適用通達3-23、3-253-47(B説)/3-29(A説・誤り)
非課税枠適用OK適用OK(B説)/NG(A説・誤り)
評価方法一時金額または24条1項3号24条1項3号
申告書第10表第10表(B説)/第11表(A説)
争いの有無なしあり(税務署対応にばらつき)

第4章 解釈分岐の核心 ― A説 vs B説の徹底比較

4-1 通達の対立構造

通達3-29(退職年金の継続受取人)

「退職年金を受けている者の死亡により、その相続人その他の者が当該年金を継続して受けることとなった場合(これに係る一時金を受けることとなった場合を含む。)においては、当該年金の受給に関する権利は、その継続受取人となった者が法第3条第1項第6号の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる」

→ 原則として6号課税(非課税枠NG)。昭和46年に追加された古い通達であり、当時は民間の適格退職年金等を主に念頭。

通達3-46(契約に基づかない定期金に関する権利の意義)

6号該当の例示として船員保険法・厚生年金保険法等の遺族年金を列挙。注書きで「改正前国共済法第50条・地共済法第52条・私学共済法第5条の公課禁止規定により非課税」を確認。これは一元化前の本体給付の整理。

通達3-47(退職手当金等を定期金として支給する場合)

「法第3条第1項第6号に規定する『(第2号に掲げる給与に該当するものを除く。)』とは、定期金又はこれに準ずる方法で支給される退職手当金等をいうのであって、これらのものについては、法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等として課税するのであるから留意する」

→ 6号本文の括弧書き除外規定の内容を明示。退職手当金等として定期金で支給されるものは6号ではなく2号で課税にスイッチ。

4-2 振り分けロジックの図解

原則: 退職年金受給者の死亡  ↓ 通達3-29により遺族の継続受給権は3条1項6号  ↓ ただし6号本文に「(第2号に掲げる給与に該当するものを除く。)」の除外規定  ↓ 通達3-47: 定期金として支給される退職手当金等は2号で課税  ↓ 施行令1条の3で経過的職域加算遺族給付を「退職手当金等」として明示列挙  ↓ 結論: 3条1項2号で課税 → 12条1項6号の非課税枠が適用される

つまり、経過的職域加算は施行令1条の3で「特別法」的に2号取り込みされたため、3-29の射程から外れて3-47経由で2号課税となる構造です。

4-3 A説とB説の徹底比較表

観点 A説(6号課税) B説(2号課税)
法的構成3条1項6号(契約に基づかない定期金)3条1項2号(退職手当金等)
主たる根拠通達3-29(退職年金の継続受取人)施行令1条の3+通達3-47
評価方法24条による定期金評価24条による定期金評価(同じ)
12条1項6号非課税枠適用なし適用あり(500万円×法定相続人数)
申告書第11表第10表
支持源民間DB/DCで確立した実務通説の延長(トゥモローズ、イナリ、アンサーズ、日本税理士企業年金基金等)税理士懇話会事例DB、社会保険出版社「年金ガイド」第75回、私学共済公式の暗黙の前提
弱点施行令1条の3の政令上の明示列挙を形骸化させる民間DB/DC実務通説との整合性の説明が必要

4-4 公的見解の不在 ― 解釈分岐が生じる構造的理由

情報源相続税対象と明示非課税枠適用と明示
私学共済公式ありなし(暗黙の前提のみ)
KKRなしなし
地方職員共済組合なしなし
国税庁タックスアンサーなし(「原則として課税されない」のみ)なし
国税庁通達3-46で6号該当の整理なし
税理士懇話会DBありあり(有料会員限定)

このように「非課税枠適用OK」を明示しているのは有料会員制DBのみ。税務署窓口の担当者が容易にアクセスできる公式情報には書かれていないことが、税務署対応のばらつきを生む構造的原因です。

第5章 第三者判断 ― なぜB説が法令解釈として正しいか

第三者としての判断

法令の階層論理(法律 > 政令 > 通達)と各条文・通達の文言の素直な読み方から判断すると、B説(2号課税・非課税枠OK)が明確に正しい

5-1 法令の階層論理から見て一義的

【法律】相続税法3条1項2号  「退職手当金等(政令で定める給付を含む。)」   ↓ 政令委任 【政令】相続税法施行令1条の3  柱書「次に掲げる年金又は一時金に関する権利」(年金も明示)  第1〜3号で経過的職域加算遺族給付を明示列挙   ↓ 自動的に取り込み完了 【法律】相続税法12条1項6号  「相続人の取得した第3条第1項第2号に掲げる給与…」   ↓ 連動適用  非課税枠(500万円×法定相続人数)が適用される

ここまでは法律と政令だけで完結しており、通達3-29を持ち出すまでもなく結論が出ます。

5-2 6号本文の除外規定が決定的

3条1項6号本文に「(第2号に掲げる給与に該当するものを除く。)」というカッコ書き除外がある以上、施行令1条の3で2号取り込み済みの給付は、定義上6号には入りません。これは通達レベルの議論ではなく、法律本文に書かれている除外規定です。

5-3 通達3-29の射程を冷静に分析する

通達3-29は昭和46年追加の通達です。当時は施行令1条の3に経過的職域加算遺族給付は存在しません(一元化は平成27年)。平成27年10月の一元化対応で施行令1条の3に経過的職域加算が明示追加された結果、それ以降は通達3-29の射程から経過的職域加算は外れたと解釈するのが、法令解釈の時系列として自然です。

通達は政令の改正に応じて射程が変動するのが当然で、政令を上書きする力は持ちません。

5-4 通達3-47がそれを裏書きしている

通達3-47は、6号本文の除外規定を解釈して「定期金として支給される退職手当金等は2号課税」と明示しています。これは政令で2号に取り込まれた退職手当金等が定期金として支給される場合をまさに念頭に置いた通達で、経過的職域加算遺族給付がドンピシャで当てはまります。

3-29と3-47は対立する通達ではなく、3-29が原則・3-47が特則という関係です。

5-5 A説の論拠を逆方向から検証

A説の論拠評価
「通達3-29で6号課税」政令1条の3改正後は射程外。法令解釈として誤り
「民間DB/DCの実務通説の延長」民間DB/DCは施行令1条の3で取り込まれている内容が異なる。「実務通説」だけを根拠に経過的職域加算に延長するのは粗い類推
「公式情報がないから」公式情報がないことは「税務署の解釈が正しい」根拠にはならない
「年金は退職手当金にあらず」(直感)施行令1条の3柱書が「年金又は一時金」と明記している以上、直感は法令文言に反する

5-6 立法意図との整合性

平成27年10月の一元化対応で政府がやったことは、構造的に明確です。

立法者が「退職手当金等として課税する」と決めた以上、「退職手当金等」のラベルに付随する非課税枠も当然セットで適用されると解するのが立法意図に整合します。「課税だけ取り込んで非課税枠は除外する」のは法律の構造上できない選択で、政府もそれを意図していないと考えるのが自然です。

5-7 慎重を期すべき留保事項

以下の未確認事項を踏まえた留保があります。

  1. 国税庁H28.2.5付PDF「被用者年金一元化に伴う相続税法等の改正解説」の本文未確認
  2. 「相続税法基本通達逐条解説(令和8年版)」の本文未確認
  3. 国税不服審判所の非公表裁決にA説を支持する事例がある可能性

これらを留保しても、現在得られている情報からは、B説が法令解釈として明確に正しいと評価します。

第6章 12条1項6号の「相続人取得要件」の制約

6-1 12条1項6号の柱書

相続人の取得した第3条第1項第2号に掲げる給与(以下この号において『退職手当金等』という。)については…」

→ 「相続人」が取得した分のみが非課税枠の対象。

6-2 通達12-10による12-8・12-9の準用

保険金関係の通達12-8(相続放棄者・相続権喪失者には非課税枠適用なし)と通達12-9(按分計算)が、退職手当金等にも準用されます。

6-3 ケース別の整理

受給者非課税枠適用備考
配偶者(相続人)○ OK最頻出ケース
子(相続人)○ OK第1順位の相続人
父母(配偶者・子なしのとき)○ OK第2順位の相続人
孫(代襲相続の場合)○ OK代襲相続人として民法上の相続人
孫(代襲相続でない場合)× NG民法上の相続人でない
兄弟姉妹共済法上の遺族対象外なので一時金支給なし
相続放棄者× NG12-10による12-8準用で適用なし(全額課税)
内縁配偶者× NG共済法上は受給可能だが民法上の相続人でない

6-4 法定相続人の数の算定(15条2項)

非課税限度額の「n」は放棄者を含めた人数で計算。ただし放棄者個人については非課税枠を使えません。

第7章 評価方法(24条1項3号 終身定期金)

経過的職域加算額の遺族共済年金は終身年金として支給されるため、相続税法24条1項3号(終身定期金)で評価します。次の3つのうち最も多い金額が評価額となります。

共済給付では(イ)(ロ)が制度上存在しないため通常0円となり、(ハ)で評価することになります。

7-1 評価実務の補足

7-2 在職支給停止中の取扱い

受給者の在職支給停止により現実の支給がゼロでも、受給権そのものは存続しているため、評価明細書では決定額をベースに評価するのが原則です。ただし支給停止が事実上恒久的に解除されない見込みがある場合(例:相続人が公務員のまま)、評価額0円とする主張もあり得ますが、否認リスクは中〜高となります。

第8章 実務的な対応策(推奨順)

第1選択:事前照会制度(文書回答制度)の活用

所轄税務署または国税局審理課に文書で照会。「相続税法施行令1条の3により経過的職域加算遺族給付が退職手当金等として明示列挙されているが、12条1項6号の非課税枠適用可否について公式見解を求める」と明記。文書回答を得られればこれが最強の根拠

第2選択:所轄税務署の資産課税部門統括官に上申

窓口担当者の口頭回答ではなく、統括官レベルで判断を仰ぐ。以下を提示。

第3選択:B説(2号課税・非課税枠OK)で申告し、否認時に争う

法令文理上の優位を主張。添付資料を充実させる。

第4選択:安全側でA説(6号課税)で申告し、後で更正請求

否認リスクゼロだが、本来使えるはずの非課税枠を放棄。顧客への説明責任が重い。

税務署交渉のポイント

戦略的に重要:「3-29ではなく3-47が適用される」と通達同士の優劣議論に持ち込むと、税務署側にも逃げ道ができてしまいます。「6号本文の除外規定により、政令1条の3で取り込まれている経過的職域加算は2号該当が法律本文で確定している」法律レベルで決着している論点であることを強調するのが有効です。

第9章 推奨専門書籍リスト

最優先(必須)

📕 相続税法基本通達逐条解説(令和8年版)

  • 編者: 甲斐裕也(国税OB)
  • 出版社: 大蔵財務協会
  • 出版: 2026年2月、1,204頁
  • 価格: 5,830円(税込)
  • ISBN: 978-4-7547-3412-1
  • URL: https://www.zaikyo.or.jp/book/b10158771.html
  • 理由: 通達3-29・3-46・3-47の射程と相互関係について逐条解説。本論点の決め手となる解説が含まれている可能性が高い

📗 税大講本 相続税法(基礎編)令和8年度版

📙 税理士懇話会事例DB「遺族共済年金及び遺族一時金の評価について」

優先

参考

第10章 参考条文・通達・政令(全文)

10-1 相続税法(昭和25年法律第73号)

第3条第1項第2号(みなし相続財産・退職手当金等)

被相続人の死亡により相続人その他の者が、被相続人に支給されるべきであった退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与(政令で定める給付を含む。)で、被相続人の死亡後3年以内に支給が確定したものの支給を受けた場合においては、当該支給を受けた者について、当該退職手当金、功労金その他これらに準ずる給与を相続又は遺贈により取得したものとみなす。

第3条第1項第6号(契約に基づかない定期金に関する権利)

相続開始の時において、まだ定期金給付契約に関する権利の評価額の算定の対象となっていない定期金に関する権利で契約に基づくもの以外のもの(第2号に掲げる給与に該当するものを除く。)を取得した場合

第12条第1項第6号(退職手当金等の非課税限度額)

相続人の取得した第3条第1項第2号に掲げる給与(以下この号において「退職手当金等」という。)については、イ又はロに掲げる場合の区分に応じ、イ又はロに定める金額に相当する部分
イ 第3条第1項第2号の被相続人のすべての相続人が取得した退職手当金等の合計額が500万円に当該被相続人の第15条第2項に規定する相続人の数を乗じて算出した金額以下である場合 当該相続人の取得した退職手当金等の金額
ロ イに規定する合計額が当該退職手当金等の非課税限度額を超える場合 当該退職手当金等の非課税限度額に当該合計額のうちに当該相続人の取得した退職手当金等の合計額の占める割合を乗じて算出した金額

第24条第1項各号(定期金に関する権利の評価)

10-2 相続税法施行令第1条の3(退職手当金等に含まれる給付の範囲)

柱書「法第3条第1項第2号及び第10条第1項第6号に規定する政令で定める給付は、次に掲げる年金又は一時金に関する権利とする」

10-3 相続税法施行規則

第12条の3(余命年数の端数処理): 厚生労働省作成の完全生命表に掲げる年齢・性別に応じた平均余命。1年未満切捨て。

10-4 相続税法基本通達

3-29(退職年金の継続受取人が取得する権利)

退職年金を受けている者の死亡により、その相続人その他の者が当該年金を継続して受けることとなった場合(これに係る一時金を受けることとなった場合を含む。)においては、当該年金の受給に関する権利は、その継続受取人となった者が法第3条第1項第6号の規定により相続又は遺贈により取得したものとみなされる。

(昭和46年直審(資)6追加)

3-46(契約に基づかない定期金に関する権利の意義)

6号該当の例示として船員保険法・厚生年金保険法等の遺族年金を列挙。注書きで以下を明示。

3-47(退職手当金等を定期金として支給する場合)

法第3条第1項第6号に規定する「(第2号に掲げる給与に該当するものを除く。)」とは、定期金又はこれに準ずる方法で支給される退職手当金等をいうのであって、これらのものについては、法第3条第1項第2号に規定する退職手当金等として課税するのであるから留意する。

12-8(保険金の非課税金額における放棄者除外)

相続を放棄した者又は相続権を失った者が取得した保険金については、法第12条第1項第5号に掲げる保険金の非課税金額の規定の適用がない。

12-9(保険金非課税金額の按分計算)

計算式: (500万円×n)× B / A = 各相続人の非課税金額(A: すべての相続人が取得した保険金合計額、B: 当該相続人が取得した保険金額、n: 法定相続人の数)

12-10(退職手当金等への準用)

退職手当金等の非課税金額計算について、保険金についての取扱い(12-8、12-9)を準用する。

10-5 財産評価基本通達

10-6 被用者年金一元化法(平成24年法律第63号)

10-7 経過措置政令

10-8 改正前共済法

10-9 その他関連法令

第11章 出典URL一覧

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